京都大学の研究チームが、サイコパスがためらいなく嘘をつく脳のメカニズムを解明したという主旨のニュース記事を読みました。
以下、京都大学の公式WEBサイトよりの抜粋です。
サイコパス傾向が高い参加者では、嘘をつくか正直に振る舞うかという葛藤が低下しており、躊躇せずに素早い反応時間で嘘をついている、と解釈することができます。これは、サイコパスには、ためらうことなく半ば自動的に嘘をついてしまう傾向があり、その脳のメカニズムとして前部帯状回の活動低下があることを示唆する、世界でも初の知見です。
以前、無意識に嘘をつくでも書いたとおり、僕は日常生活上で無意識に嘘をついてしまう傾向があります。
それを踏まえたうえで、この記事を初めて読んだ時、少々違和感を覚える点がありましたので、今回はそれについて書いてみようと思います。
記事の中で違和感を覚えたのは「嘘をつくか正直に振る舞うかの葛藤が低下している」「躊躇せずに素早い反応時間で嘘をつく」というあたり。
僕が人との会話の中で嘘をついてしまう時のプロセスをあらためて考えてみたところ、僕が嘘をついてしまう時は「嘘をつくか正直に振る舞うかの葛藤」自体がそもそも起きていないような気がします。
僕にとって、人との会話(雑談)は「楽しい会話のやり取りを構築する作業」という認識が大きいため、会話中に「ここはこう答えた方が面白いだろう」が頭に浮かんでしまうと、自分の本心や事実はそっちのけで、そのまま思いついた答えが口をついて出てしまうといった感じです。
このあたり、もうちょっと分かり易くフローチャートで表してみます。
例えば、人との会話の中で「昨日の夜は何を食べた?」のような質問をされた時、諸々の前提条件により、事実である「蕎麦」と答えるより「カレー」と答えたほうが会話が盛り上がるであろう状況が明白な場合での僕の頭の中は、
1.昨晩何を食べたか思い出す
↓
2.「蕎麦」を食べた
↓
3.「蕎麦」と答えるより「カレー」と答える方が面白いだろうな
↓
4.事実を回答すべきか嘘をつくべきか葛藤
↓
5.嘘をついて「カレー」と回答しようと決断
↓
6.「カレー」を食べたと回答
ではなく、
1.「カレー」と答えたら面白いだろうな
↓
2.「カレー」を食べたと回答
となっています。
自分で言うのもなんですが、興味深いのは「葛藤」が発生していないだけでなく、そもそも事実を確認する作業すらもすっ飛ばしているという点です。
そりゃ早いわけですよね。
あくまで僕の場合に限る話しですし、全部が全部一律にこのようなプロセスを経ているというわけでもありませんが、今回のニュース記事を読んで感じた違和感はこのあたりかなと思います。
要は、僕が嘘をついてしまう時は、「葛藤が低下しているため、嘘をつく意思決定が早い」わけではなく、そもそも「嘘をつくか否かの葛藤」すらしていないよ、ということです。
だから何だと言われてしまえばそれまでですが、他のサイコパスの人も、嘘をつく時、この「嘘をつくか否かの葛藤」自体が生じていない可能性があるのではないかと思うのですが、実際のところはどうなんでしょうかね。
この研究自体まだまだ不完全で、さらに詳しく研究してゆく必要があると最後は締めくくられていますので、今後この手の研究がさらに進んで、もっと面白い研究結果が出てくることを期待しています。