サイコパスの定義はとても曖昧なものです。
よく「反社会性パーソナリティ障害」と混同されがちですが、実際には反社会性を持たないサイコパスも存在しますし、そもそもサイコパスとはスペクトラムであるので、その実像は一つではありません。
原田隆之氏の著書「サイコパスの真実」には以下のような一文があります。
しかし、第二章で述べた数々の特徴をもれなく満たすようなサイコパス(犯罪的なサイコパスであり、まさに誰もがサイコパスと聞くと頭に思い浮かべるサイコパス)はむしろ例外的であり、それぞれの特徴の「カクテル」によって、多様なサイコパス像が浮かび上がる。つまり、サイコパスとは一つの症候群であり、またスペクトラムでもあって、そのどこに位置するかによって、赤く見えたり、青く見えたりするものである。
原田隆之「サイコパスの真実」より
上記を踏まえたうえで、以下に現在最も代表的なサイコパスの定義を記載します。
ハーヴェイ・クレックレーによる定義
サイコパスという概念を初めて作ったのは精神科医のハーヴェイ・クレックレーと言われています。
彼は自著「正気の仮面(The Mask of Sanity)」にてサイコパスの特徴として以下のような点を挙げています。
・表面的な魅力と高い知能
・妄想や他の非合理的思考の兆候の欠如
・神経過敏や神経症的兆候の欠如
・信頼性の欠如
・不正直と不誠実
・後悔や恥の欠如
・不適切に動機づけられた反社会的行為
・不適切な判断力と経験による学習の失敗
・病的な利己主義と愛する能力の欠如
・主要な感情反応の一般的欠如
・洞察力の特定の欠如
・一般的な対人関係の無反応
・飲酒の上で、そして時に飲酒していない時にも認められる空想的で望ましくない行為
・実行に及ぶことは稀な自殺の威嚇
・非人間的で、些末で、あまり統合されていない性生活
・人生の計画を守れない
ロバート・D・ヘアのサイコパシー・チェックリスト
犯罪心理学者のロバート・D・ヘアは、サイコパスの特徴として下記の点を挙げています。
・良心が異常に欠如している
・他者に冷淡で共感しない
・慢性的に平然と嘘をつく
・行動に対する責任が全く取れない
・罪悪感が皆無
・自尊心が過大で自己中心的
・口が達者で表面は魅力的
また、ロバート・D・ヘアは、上記のハーヴェイ・クレックレーの研究を元にサイコパシー・チェックリスト(PCL)および改訂版(PCL-R)を開発しました。
ただ、このチェックリストは犯罪に関しての項目が含まれており、サイコパスは仮に反社会的ではあったとしても、必ずしも犯罪を起こすとは限らないため、このチェックリストはサイコパスであるか否かを測るものと言うよりは、サイコパシーの尺度を測るものとして現在では使用されているようです。
ジェームズ・ファロンの三脚理論
自らもサイコパスと同じ脳構造を持つ神経科学者のジェームズ・ファロンは、サイコパスの生まれる要因として以下の3つの要因を挙げています。
1.前頭前野から扁桃体へつながる脳機能の低下
2.MAO-A遺伝子などいくつかの遺伝的要因
3.幼少期の身体的、精神的虐待
それを踏まえたうえで、彼は家族から愛情を持って育てられたため、自身はサイコパスではあるものの、反社会性の無いマイルド・サイコパス(向社会性サイコパス)であると主張しています。
まとめ
僕自身、もちろん上記の様々な定義が全て当てはまるわけではありませんし、サイコパスではない人でも上記の中で当てはまる項目があるかもしれません。
結局サイコパスの定義については、明確にこれだと断定するものがないというのが現状のようです。
正直、僕はサイコパスについての学術的な知識にはあまり興味がないというのが本音ですが、「自分が何者であるか」を紐解いてゆくにはこういった勉強も必要なのかなとも感じていますので、サイコパス関連の書籍は難しいものが多いですが、頑張ってそういった書籍もこれから読んでゆこうかと思います。